退職は2週間前に言えばいい?2週間はいつから数えるかと、会社が認めない時の対処

【民法627条】退職は2週間前が原則? 即日退職が成立する仕組みを解説 法律・制度

公開日:2026年9月20日/最終更新日:2026年10月25日/料金はすべて税込・2026年9月時点の各社公開情報/本記事はアフィリエイト広告を利用しています

「退職は2週間前に言わないと辞められない」と聞いて、本当にそうなのか気になりますよね。答えは、正社員など期間の定めのない雇用なら、民法627条1項により申入れから2週間で退職でき、会社の承諾は要りません。

この記事では、条文の内容と2020年改正の影響、契約社員・派遣社員の扱い、退職代行が「即日退職」と説明する仕組みを、条文を示しながら解説します。

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民法627条とは? 退職は2週間前が原則になる理由

民法627条1項は、労働者側から雇用契約を終わらせるときの基本ルールです。正社員や、契約期間を決めていないアルバイト・パートがこの条文の対象となっています。

民法627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
e-Gov 法令検索(民法)

条文の要点は3つです。

  • 対象は「期間の定めのない雇用」
  • 「いつでも」申入れができ、理由は問われない
  • 申入れの日から2週間が経過すると、雇用は自動的に終了する

「解約の申入れ」とは、「辞めます」という意思を会社に伝えることです。退職届の提出や口頭での申し出がこれに当たります。

会社の承諾はいらない

627条1項の退職は、法律上「解約の申入れ」という一方的な意思表示です。会社が「認める」「認めない」と判断する性質のものではありません。

意思表示が会社に到達すれば、そこから2週間の期間が進み始めます。会社が退職届を受け取らなかったり、返事をしなかったりしても、期間の進行は止まりません。

ポイント

2週間は「会社が受理した日」ではなく、意思表示が会社に届いた日を基準に数えます。届いたことを後から示せるよう、伝え方と記録の残し方が重要になります(後の章で解説します)。

就業規則の「1か月前」との関係

多くの会社の就業規則には「退職は1か月前までに申し出ること」という規定があります。民法の2週間と就業規則の1か月では、どちらが優先するのでしょうか。

一般的な理解では、労働者側からの退職は民法627条1項が優先し、就業規則で2週間より長い期間を定めても労働者を拘束できないと考えられています。裁判例でも、6か月前の予告を求めた就業規則の効力を否定したものがあります(東京地裁昭和51年10月29日判決・高野メリヤス事件)。

注意

この点には争いがあります。627条は当事者の合意で変更できる任意規定であり、1か月程度の合理的な予告期間なら就業規則の定めも有効だとする見解も存在します。

最高裁がこの論点を正面から判断した判例はありません。

実務上は、就業規則の期間に従って退職するほうが円満です。一方で、体調などの問題で1か月待てない場合に627条を根拠に2週間での退職を主張することは広く行われており、退職代行サービスもこの理解を前提に動いています。

入社して間もない試用期間中の方も、契約期間を決めていない雇用なら627条1項の対象です。詳しくは試用期間中の退職をご覧ください。

月給制でも2週間? 2020年改正で変わった2項・3項

民法627条には2項と3項もあります。インターネット上には「月給制の人は2週間では辞められない」という古い情報が残っているため、確認しておきましょう。

民法627条2項・3項
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
e-Gov 法令検索(民法)

2020年の改正で「使用者からの解約」だけに適用されることになった

2020年3月までの旧民法では、2項の主語が「解約の申入れは」となっており、労働者からの申入れにも適用されるという解釈が一部で採られていました。「月給制は月の前半に申し入れて翌月末に退職」という情報は、この時代のものです。

2020年4月1日に施行された改正民法で、2項の文言が「使用者からの解約の申入れは」に改められました。3項は2項を前提とする規定なので、同じく使用者側の申入れにだけ適用されます。

覚えておきたいこと

月給制でも年俸制でも、期間の定めのない雇用であれば申入れから2週間で退職できるのが現行法の整理です。「月給制は退職に1か月半かかる」という説明を見たら、2020年改正前の情報と考えてよいでしょう。

契約社員・派遣社員など有期雇用はどうなる?

民法627条は「期間の定めのない雇用」の条文です。「契約期間は1年」「6か月更新」のように期間を決めて働いている契約社員や登録型の派遣社員には、別のルールが適用されます。

原則は「やむを得ない事由」が必要(民法628条)

有期雇用は、期間満了まで働くことを約束した契約です。そのため、期間の途中で辞めるには原則として「やむを得ない事由」が必要とされています。

民法628条
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
e-Gov 法令検索(民法)

「直ちに」とあるので、事由があれば2週間を待つ必要はありません。やむを得ない事由に当たるかはケースごとの判断ですが、一般に次のようなものが挙げられます。

  • 病気やけがで働き続けることが難しい
  • 家族の介護や看護が必要になった
  • 賃金の未払いなど、会社側の契約違反がある
  • ハラスメントなど、就業を続けることが期待できない職場環境

注意

628条の後半には、労働者側の過失で事由が生じた場合の損害賠償の定めがあります。ただし、実際に会社が賠償を求めて認められるのは、具体的な損害を会社が立証できた限られた場合です。

契約期間が1年を超える場合は、1年経過後いつでも退職できる(労働基準法137条)

契約期間が1年を超える有期契約には、労働基準法に特則があります。契約の初日から1年が経過した後は、やむを得ない事由がなくても申し出によって退職できます。

労働基準法137条(抜粋)
期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、(中略)当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
e-Gov 法令検索(労働基準法)

たとえば3年契約の契約社員であれば、入社から1年が経った日以後は申し出で退職できます。ただし、労働基準法14条1項が定める専門的知識を持つ労働者や満60歳以上の労働者、一定の事業の完了に必要な期間を定めた契約は対象外です。

1年以内の契約や契約初年度は、合意退職が中心になる

契約期間が1年以内の契約や、1年を超える契約の初年度には、労働基準法137条が使えません。この期間中の途中退職は、民法628条の「やむを得ない事由」か、会社との合意によることになります。

実際には、働く意思を失った労働者を無理に引き止めても会社の得にはならないため、話し合いで途中退職が認められるケースが大半です。

雇用形態別の早見表

ここまでの内容は次のとおりです。派遣社員は派遣先ではなく雇用契約を結んでいる派遣会社(派遣元)に申し入れる点に注意が必要です。

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雇用形態申入れから終了までの期間根拠条文
正社員(期間の定めなし)申入れから2週間。合意があればそれより前でも可民法627条1項
契約社員(契約期間1年以内)原則は期間満了まで。やむを得ない事由があれば即時。合意があればいつでも可民法628条
契約社員(契約期間1年超)初年度はやむを得ない事由または合意が必要。1年経過後は申し出でいつでも可労働基準法137条、民法628条
派遣社員派遣元との契約に期間の定めがなければ2週間。有期なら契約社員と同じ。申入れ先は派遣元民法627条1項、628条、労働基準法137条
アルバイト・パート期間の定めがなければ2週間。契約期間があれば契約社員と同じ民法627条1項、628条

いずれの形態でも、会社が合意すれば法律上の期間を待たずに退職日を決められます。自分がどの行に当たるかは、次の3点で確認できます。

  • 雇用契約書や労働条件通知書で、契約期間の定めがあるかを確認した
  • 有期契約なら、契約期間の初日から1年を経過しているかを確認した
  • 派遣社員なら、申入れ先が派遣先ではなく派遣元だと確認した

「即日退職」が成立する仕組み

退職代行サービスの多くは「即日退職が可能」と案内していますが、民法627条1項のもとでは法律上の退職日がその日のうちに来るわけではありません。「即日退職」が実際に指しているのは、申入れをした日から一度も出社せずに退職日を迎える状態です。

流れは次のとおりです。

  • 1. 退職の意思表示をする。この日から2週間の期間が進み始める
  • 2. 意思表示と同時に、残っている年次有給休暇を退職日まで取得する旨を伝える
  • 3. 有給で足りない日数は欠勤とする。欠勤分の給与は発生しないが、退職の効力には影響しない
  • 4. 2週間が経過した日に雇用が終了する。出社はしないまま退職となる

2週間の数え方

民法140条・141条に従い、申入れをした当日は数えず、翌日から起算して14日目の終了で満了します。土日や祝日も含めた暦日で数え、営業日ではありません。

有給休暇は労働者の権利。時季変更権は退職日を越えて使えない

年次有給休暇は、労働基準法39条で労働者に認められた権利です。取得に会社の許可は必要なく、理由を説明する義務もありません。

労働基準法39条5項
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
e-Gov 法令検索(労働基準法)

ただし書きの部分が、会社側の「時季変更権」です。この権利は「他の時季に与える」ことが前提なので、退職が決まっている労働者には、退職日より後に振り替える日が存在しません。

そのため、退職日までの期間をすべて有給に充てる請求に対して、会社が時季変更権を行使することは実質的にできない、というのが一般的な整理です。「引き継ぎがあるから有給は認めない」という主張は、法律上通りません。

有給を金額に換算すると

月給24万円・月の所定労働日数20日の方なら、有給1日分は約12,000円、10日残っていれば約12万円に相当します。残日数は給与明細で確認しておきましょう。

有給が残っていない場合は欠勤で対応する

有給休暇が残っていない、または足りない場合、退職日までの残りは欠勤という扱いになります。働かなかった日の給与は発生しませんが、欠勤したこと自体が退職の効力を妨げることはありません。

注意

連絡なしの欠勤(いわゆるバックレ)と、退職の意思表示をしたうえでの欠勤は、法的な意味が異なります。前者は雇用契約が続いたままの無断欠勤、後者は解約の申入れ後の期間中の欠勤です。

この違いは「バックレと退職代行どっちがいい?リスク・費用・損害賠償の違いを比較」で解説しています。

会社が合意すれば、本当の意味での「即日」も可能(合意退職)

民法627条の2週間は、労働者が一方的に退職する場合の最低ラインです。会社が「今日で退職として処理します」と合意すれば、2週間を待たずに当日や翌日を退職日にできます。

これを合意退職(合意解約)と呼び、有給消化後の日付や月末を退職日とする合意が成立することも多くあります。

退職を申し入れるときは証拠を残す

退職は意思表示が会社に到達した時点で効力が生じ、そこから2週間が数えられます。後で「聞いていない」「受け取っていない」と言われないよう、いつ・何を伝えたかの証拠を残しておきましょう。

  • 内容証明郵便(配達証明付き)で退職届を送り、控えを保管した
  • 上司や人事宛てのメールで退職の意思と希望退職日を伝え、送信済みメールを保存した
  • 手渡しの場合はコピーを取り、受け取った日付と受領者の署名をもらった
  • 口頭で伝えた場合は日時・相手・内容をメモし、当日中にメールで念押しした

「退職願」ではなく「退職届」

表題は「退職届」とし、「一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたします」と日付を明記します。「退職願」は会社の承諾を求める形式と受け取られやすいためです。

会社が「認めない」「損害賠償する」と言ったら?

退職を申し出た際に、会社から強い言葉で引き止められることがあります。それぞれの法的な位置づけを確認しておきましょう。

「退職は認めない」は効力に影響しない

期間の定めのない雇用の退職は、会社の承諾を必要としない一方的な意思表示です。会社が「認めない」と言っても、申入れから2週間が経過すれば雇用は終了します。

「後任が決まるまで」「繁忙期が終わるまで」といった事情は会社側の都合であり、法律上の退職日を延ばす理由にはなりません。

「損害賠償を請求する」は、賠償額の予定が禁止されている

労働基準法16条
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
e-Gov 法令検索(労働基準法)

「途中で辞めたら○万円払う」という誓約書や就業規則の規定は、この条文により無効です。一般の損害賠償(民法415条・709条)の請求自体は禁止されていませんが、退職による具体的な損害を会社側が立証する必要があり、法律に従って退職した労働者に認められることは通常考えにくいといえます。

注意

「訴える」という言葉は引き止めの手段として使われることが多いものの、実際に書面で請求が届いた場合には注意が必要です。その段階では弁護士への相談を検討してみるとよいでしょう。

「離職票を出さない」は雇用保険法上の義務に反する

離職票は、失業給付(基本手当)を受けるために必要な書類です。会社は、労働者が雇用保険の被保険者でなくなった場合、雇用保険法にもとづき資格喪失届と離職証明書をハローワークに提出する義務があり、労働者が希望する以上この手続きを拒めません(e-Gov 法令検索(雇用保険法))。

会社が動かない場合は、住所地を管轄するハローワークに相談するとよいでしょう。

給与は全額支払われる

働いた分の給与は、労働基準法24条により全額を支払う義務があります。「最後の月の給与は払わない」といった扱いは認められず、支払われない場合は労働基準監督署(厚生労働省)が相談窓口になります。

退職代行を使うと何が変わる?

退職そのものは法律上、労働者が自分でできる手続きです。退職代行サービスは法律上の効果を変えるものではなく、退職の意思や有給取得の希望、退職日などを本人の代わりに会社へ伝えるサービスです。

依頼者本人は上司と顔を合わせることなく手続きを進められます。

運営元によって「交渉」ができるかが変わる

会社が「有給は認めない」などと反論してきた場合に、本人の代わりに話し合って落としどころを探ることを「交渉」といいます。この交渉ができるかどうかは、運営元によって異なります。

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運営元できることできないこと
民間企業退職の意思・有給取得の希望を伝える退職日や有給消化の交渉
労働組合意思の伝達に加え、団体交渉として退職日や有給消化の交渉未払い賃金の請求や訴訟対応などの法律事務
弁護士交渉に加え、未払い賃金の請求や損害賠償を持ち出された場合の法的対応(対応範囲の制限はなし)

民間企業の業者が会社と交渉まで行うと、弁護士以外の者が報酬を得て法律事務を扱うことを禁じた弁護士法72条に反するおそれがあります。この問題と、安い業者に有給交渉を頼む前に知っておきたいことは「退職代行の非弁行為とは?民間業者が違法になる線引きと業者の見分け方」で解説しています。

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よくある質問

試用期間中でも2週間で辞められますか

辞められます。試用期間は、多くの場合「期間の定めのない雇用」に本採用前の見極め期間が付いているものであり、民法627条1項が適用されます。

2週間の数え方を教えてください。土日や祝日も含みますか

含みます。民法140条により申入れをした当日は数えず、翌日から起算し、14日目の終了(民法141条)で雇用が終了します。

例えば、9月1日に申し入れた場合は、9月15日の終了で退職です。

退職届を出したあとで撤回できますか

民法627条1項にもとづく解約の申入れは、会社に到達した時点で効力が生じるため、原則として一方的に撤回できません。「退職願」のように承諾を求める形式なら承諾前は撤回できるとする考え方が一般的ですが、争いになりやすいため、意思が固まってから書面を出すほうが安全です。

引き継ぎをしないで辞めると、損害賠償を請求されますか

会社が損害賠償を求めて認められるには、引き継ぎがなかったことによる具体的な損害を会社側が立証する必要があり、実際に認められる例は限られています。トラブルを避けたい場合は、業務内容や進行状況をまとめた簡単な引き継ぎ書をメールで共有しておくとよいでしょう。

有給が残っておらず2週間欠勤した場合、給与はどうなりますか

欠勤した日の給与は発生しません(ノーワーク・ノーペイの原則)。一方で、すでに働いた日の給与は労働基準法24条により全額支払われなければならず、「欠勤したから○万円を差し引く」といった扱いは労働基準法16条・24条に反します。

運営元ごとの違いを含めた退職代行サービス全体の比較は「退職代行おすすめ比較13選|料金・運営元・交渉範囲で選ぶ」にまとめています。

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まとめ

「退職は2週間前」という言葉は、民法627条1項を根拠にすると「2週間前に言えば、会社の承諾がなくても辞められる」という意味で正しいといえます。2020年の改正により、現在は給与の形態にかかわらず、期間の定めのない雇用なら原則2週間で退職できます。

有期雇用の方は、民法628条の「やむを得ない事由」、労働基準法137条、会社との合意退職が退職の道筋になります。

この記事の要点

・期間の定めのない雇用は、申入れから2週間で退職できる(民法627条1項)
・「即日退職」は、意思表示のうえで2週間を有給や欠勤で埋め、出社せずに退職日を迎える仕組み
・会社の「認めない」「損害賠償する」「離職票を出さない」は、いずれも法律上の根拠が乏しい

証拠を残して申入れをすれば、自分で退職することは可能です。それでも会社と直接やり取りをするのが難しい場合は、退職代行の利用を検討してみるとよいでしょう。

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本記事は法律の一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。具体的な状況については弁護士や労働基準監督署にご相談ください。

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