管理職でも退職代行は使える?引き継ぎ・損害賠償の不安と依頼先の選び方

管理職でも退職代行は使える?引き継ぎ・損害賠償の不安と依頼先の選び方 悩み・状況別

公開日:2026年10月4日/最終更新日:2026年10月25日/2026年10月時点の情報にもとづきます/本記事はアフィリエイト広告を利用しています

管理職でも、会社に雇われて働く労働者であれば、退職代行を使って辞められます。期間の定めのない雇用は、民法627条により退職を申し入れてから2週間で終了するためです。

ただし、労働組合の退職代行には利用規約で管理職を対象外にしている業者もあり、引き継ぎや損害賠償が心配な方や取締役を兼ねる方には、弁護士の退職代行が合います。

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管理職でも退職代行は使える?

部長や課長などの管理職でも、会社と雇用契約を結んでいる労働者なら、退職代行は使えます。役職が付いても、辞める権利は一般の社員と変わりません。

退職の根拠になるのは、期間の定めのない雇用について決めた民法627条1項です。条文は次のとおりです。

民法627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
e-Gov 法令検索(民法)

年俸制や月給制の管理職でも、働く側からの申し入れは2週間が目安です。627条の2項と3項は、条文のとおり会社から解約を申し入れる場合の決まりです。

就業規則に「退職は1か月前までに申し出る」とある場合の考え方は、就業規則の「1か月前」を守らないとどうなるかで解説しています。

立場ごとの辞め方と、退職代行の使い方の目安は次のとおりです。

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立場会社との契約辞めるときの決まり退職代行
課長・部長などの管理職期間の定めのない雇用契約申し入れから2週間で終了(民法627条1項)使える。業者の受付条件を確かめる
契約期間のある管理職期間の定めのある雇用契約原則は期間の満了まで。やむを得ない事由があれば途中でも辞められる(民法628条)使える。事情の説明が必要なため弁護士が合う
取締役を兼ねる方委任契約いつでも辞任できる(民法651条1項)役員に対応すると明記した業者を選ぶ

取締役を兼ねている方は、雇用ではなく委任という別の契約で会社とつながっています。肩書だけで判断せず、契約書や辞令で自分の立場を確かめておくと安心です。

管理職を断る退職代行があるのはなぜ?

労働組合の退職代行が管理職を断ることがあるのは、労働組合法が会社の利益を代表する立場の人の参加を認めていないためです。人事の権限を持つ管理職などが加わる団体は、法律上の労働組合として扱われません。

労働組合法2条(抜粋)
但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでない。
一 役員、雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、(中略)その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの
e-Gov 法令検索(労働組合法)

例えば、退職代行ガーディアンのように、規約で活動の対象を「公務員を除く日本国内で働く管理職では無い労働者」と定めている業者もあります(退職代行ガーディアン利用規約、2026年10月時点)。利用規約に管理職の扱いを書いていない業者もあるため、申し込む前の無料相談で役職を伝えて確かめると確実です。

運営元ごとの、管理職の受付と交渉の違いは次のとおりです。

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運営元管理職の受付会社との交渉合う管理職の方
民間企業業者によるできない。退職の意思を伝えるのみ引き継ぎや条件の話し合いが要らない方
労働組合規約で対象外にする業者がある組合員として交渉できる人事の権限がなく、会社の利益を代表する立場ではない方
弁護士役員まで対応する事務所もある代理人として交渉できる損害賠償・引き継ぎ・未払いの残業代が心配な方

民間企業の業者が会社と条件を交渉すると、弁護士法72条が禁じる非弁行為にあたるおそれがあります。運営元ごとにできることは、退職代行の非弁行為とは?民間業者が違法になる線引きで詳しく解説しています。

管理監督者と名ばかり管理職の違いは?

管理監督者は、労働基準法41条2号により、労働時間・休憩・休日の決まりが当てはまらない人のことです。管理監督者にあたるかは役職名ではなく、仕事の中身・権限・働き方・待遇の実態で判断されます。

労働基準法41条(抜粋)
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
e-Gov 法令検索(労働基準法)

厚生労働省は、チェーン店の店長などを十分な権限や待遇がないまま管理監督者として扱い、残業代を払わない例があるとして、判断の要素を通達で示しています(厚生労働省 報道発表資料、2008年9月9日)。肩書はあっても実態が伴わない管理職が、いわゆる名ばかり管理職です。

管理監督者に近いか、名ばかり管理職に近いかの目安は次のとおりです。

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項目管理監督者に近い名ばかり管理職に近い
権限採用・人事・部門の方針に関わる上司の指示を部下に伝えるだけ
働き方出社や退社の時間を自分で決められるシフトや始業時刻に縛られる
待遇役職手当などで一般の社員より明らかに高い残業代がなくなり、一般の社員と変わらないか低い

名ばかり管理職にあたる場合は、払われていない残業代を会社に請求できる可能性があります。管理監督者であっても、深夜の割増賃金と年次有給休暇は一般の社員と同じく当てはまります。

ポイント

残業代の請求は、退職後でも時効までは行えます。請求の進め方は未払い残業があるまま退職するとどうなるかで解説しています。

引き継ぎをせずに辞めても大丈夫?

引き継ぎが終わっていなくても、それだけで退職できなくなることはありません。民法627条の2週間がたてば雇用は終了し、引き継ぎを退職の条件とする決まりは法律にないためです。

ただし、就業規則で引き継ぎを求めている会社もあり、情報をまったく残さないと会社とのやり取りが長引く原因になります。管理職の方は、引き継ぎメモを作って退職代行を通じて渡す形にすると、出社せずに業務の情報を残せます。

引き継ぎメモに書く項目

引き継ぎメモには、次の項目を書いておくと会社が業務を続けやすくなります。

  • 進行中の案件と期限、社内の担当者
  • 部下の業務分担と、面談や評価の予定
  • 取引先の連絡先と、返事を待っている約束
  • 共有フォルダや業務アカウントの場所
  • 承認待ちの申請と、自分の経費精算

メモは会社のメールや共有フォルダに残すか、退職代行を通じて送ると記録が残ります。同僚への影響が気になる方は、退職代行は同僚に迷惑?引き継ぎできない時の対応もあわせて読むとよいでしょう。

管理職は損害賠償を請求される?

退職代行で辞めたことだけを理由に、会社が管理職に損害賠償を求めても、請求が認められることはまれです。退職は法律で認められた権利で、会社は退職と損害のつながりを証明しなければならないためです。

労働基準法16条は、違約金や損害賠償の額をあらかじめ決める契約を禁じています。「辞めたら〇〇万円を払う」という誓約書に署名していても、その約束は16条に反するものとして無効と考えられています。

労働基準法16条
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
e-Gov 法令検索(労働基準法)

管理職の方が会社から言われやすい言葉と、実際のところは次のとおりです。

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会社が口にしやすい言葉実際のところ合う対応
「プロジェクトの途中で辞めたら損害賠償だ」退職そのものを理由にした請求が認められるのはまれ弁護士に相談する
「後任が決まるまで辞めさせない」申し入れから2週間で雇用は終了する退職日を書面で伝える
「誓約書の違約金を払え」賠償額を前もって決める約束は労働基準法16条で禁止払う前に弁護士に相談する
「会社の資料を返せ」会社の物は返す必要がある郵送で返し、送った記録を残す

一方、会社の資料を持ち出す、取引先を連れて同業に移るなど、退職とは別の行為で損害を与えた場合は、請求が認められる可能性があります。言われたときの目安は、退職代行で損害賠償を請求されるかで解説しています。

部下や取引先にはどう伝わる?

退職代行を使うと、会社への連絡は業者が行い、部下や取引先へは会社から伝えることになります。いつ、どこまで伝えるかは会社が決めるため、本人が部下へ個別に連絡しなくても退職は成立します。

部下に一言伝えたい方は、退職日が過ぎて会社とのやり取りが落ち着いてからにすると、引き止めの窓口になりにくくなります。取引先の連絡先や案件の状況は、引き継ぎメモに書いて会社に渡しておくと安心です。

覚えておきたいこと

部下の面談や評価、承認待ちの申請は、管理職がいなくなると止まりやすい業務です。メモに一行ずつ書いておくと、会社が後任を決めやすくなります。

管理職が辞める前に避けたいことは?

管理職の方が避けたいのは、会社の物やデータを手元に残したまま連絡を絶つことです。退職そのものではなく、こうした行為が損害賠償や懲戒の理由になりやすいためです。

避けたいことと、その理由は次のとおりです。

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避けたいこと理由
顧客名簿や資料を個人のメールや私物のパソコンに送る秘密の持ち出しとして責任を問われるおそれがある
共有フォルダのデータを消す業務の妨げになり、損害賠償の理由になりうる
パソコン・社用の携帯電話・鍵を返さない会社の物は返す必要があり、やり取りが長引く
部下に退職の段取りを頼む部下が会社との板挟みになる
経費精算や承認を残したままにする立て替えたお金の精算が遅れる

貸与品は退職日までに郵送で返し、送った記録を残しておくとよいでしょう。懲戒解雇になりやすいケースは、退職代行を使うと懲戒解雇される?で解説しています。

管理職の退職代行でできないことは?

退職代行で頼める範囲は運営元で決まり、民間企業の業者は会社と交渉できず、労働組合の業者も裁判の代理人にはなれません。管理職の退職は条件の話し合いが必要になりやすいため、頼みたい内容から依頼先を選ぶと合わない依頼を避けられます。

頼みたい内容ごとの対応の違いは次のとおりです。

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頼みたい内容民間企業労働組合弁護士
退職の意思を伝える対応する対応する対応する
退職日・有給消化の交渉対応しない対応する対応する
未払いの残業代の請求対応しない交渉まで裁判まで
損害賠償を言われたときの対応対応しない裁判には対応しない対応する
取締役の辞任業者による対象外役員に対応する事務所なら対応する

次に当てはまる管理職の方は、最初から弁護士の退職代行を選ぶと手間を減らせます。

  • 会社から損害賠償や違約金の支払いを言われている
  • 名ばかり管理職として、残業代を請求したい
  • 取締役を兼ねている
  • 社宅に住んでいる、または会社からお金を借りている

弁護士の事務所ごとの費用は、弁護士の退職代行おすすめ6選で比べています。上司や人事に自分で伝えられる関係の方は、退職代行を使わない方がいい人の特徴も参考になります。

管理職が依頼前に確かめたい5つ

依頼前に確かめたいのは、管理職を受け付けているかと、引き継ぎや交渉まで頼めるかの2点が中心です。次の5つを申し込む前に確かめておきましょう。

  • 利用規約で管理職が対象外になっていない
  • 取締役を兼ねている場合、役員に対応するプランがある
  • 引き継ぎの仲介や書類のやり取りが対応範囲に入っている
  • 有給の残日数と、未払いの残業代があるかを書き出した
  • 貸与品と業務データの返し方を決めた

無料相談では「課長職で部下が5人いますが依頼できますか」のように、役職と部下の人数を具体的に伝えると答えが早くなります。相談で伝える項目は、退職代行に依頼する前に伝えること10項目が参考になります。

管理職の退職に対応する弁護士の退職代行

管理職や役員の退職、引き継ぎの仲介を公式サイトで対応範囲に挙げている依頼先は、次のとおりです(2026年10月時点)。損害賠償の心配がある方も、弁護士なら代理人として会社とやり取りできます。

弁護士法人ガイア|役員・引き継ぎにも対応

弁護士法人ガイアの公式サイト
出典:弁護士法人ガイア公式サイト(2026年9月時点)

弁護士法人ガイアは、弁護士法人ガイア総合法律事務所が運営する弁護士の退職代行です。公式サイトでは正社員・役員の退職や引き継ぎの仲介を対応範囲に挙げ、プロジェクトリーダーの方が損害賠償を言われたケースも代行した例として載せています。

引き継ぎがなく退職を伝えるだけなら25,300円、書類のトラブルなどにも間に入るアフターフォロー付きは55,000円です。役員を兼ねる方は77,000円のプランが対象で、未払いの残業代は回収できた場合だけ回収額の20〜30%の成功報酬が発生します。

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プラン内容選べない方
25,300円退職を伝える公務員・業務委託・役員
55,000円アフターフォロー付き自衛隊員・業務委託・役員、借金の交渉
77,000円役員・業務委託・個人事業主・借金の交渉など—
成功報酬未払いの給料・残業代を回収できた場合回収額の20〜30%
支払い銀行振込の前払い振込手数料は利用者の負担

出典は弁護士法人ガイア公式サイトの料金案内と特定商取引法に基づく表記です(2026年10月時点)。相談はLINEで24時間受け付けているため、管理職として依頼できるか、どのプランが合うかを先に確かめるとよいでしょう。

プランごとの違いや利用者の声は、弁護士法人ガイアの退職代行の評判・費用で解説しています。

よくある質問

管理職でも有給休暇は消化できますか?

消化できます。労働基準法41条で外れるのは労働時間・休憩・休日の決まりで、年次有給休暇は管理監督者にも当てはまります。

年俸制の管理職でも2週間で辞められますか?

期間の定めのない雇用なら、民法627条1項により申し入れから2週間で辞められます。627条の2項と3項は、会社から解約を申し入れる場合の決まりです。

取締役を兼ねていても退職代行は使えますか?

取締役は会社と委任の関係にあり、民法651条1項によりいつでも辞任できます。役員に対応すると明記した弁護士の退職代行を選ぶと安心です。

退職代行ガーディアンは管理職でも使えますか?

退職代行ガーディアンの規約は、対象を「公務員を除く日本国内で働く管理職では無い労働者」としています(2026年10月時点)。管理職の方は、管理職を受け付ける業者か弁護士の退職代行を選ぶとよいでしょう。

管理職が退職代行を使うのは無責任ですか?

退職は法律で認められた権利で、管理職でも一般の社員と同じです。引き継ぎメモを残し貸与品を返せば、会社が業務を続けるための準備はできます。

まとめ

  • 管理職でも、雇用契約で働く労働者なら、民法627条1項により申し入れから2週間で退職でき、退職代行も使えます。
  • 労働組合の退職代行には、規約で管理職を対象外にしている業者があるため、申し込む前に役職を伝えて受付を確かめると安心です。
  • 引き継ぎは退職の条件ではありませんが、引き継ぎメモを作って退職代行を通じて渡すと、会社とのやり取りが長引きにくくなります。
  • 損害賠償を言われている方や取締役を兼ねる方、名ばかり管理職として残業代を請求したい方には、弁護士の退職代行が合います。

管理職以外の条件も含めて業者を比べたい方は、退職代行おすすめ比較で運営元や交渉範囲まで比べられます。

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管理職の方の依頼先選びは、管理職を受け付けているかと、会社との話し合いまで頼めるかが分かれ目です。退職を伝えるだけなら受付条件に合う業者で足りますが、損害賠償や引き継ぎで争いになりそうな場合は弁護士でないと対応できないためです。

退職代行診断ナビの無料診断で、雇用形態・いちばん重視したいこと・いつ辞めたいかに答えると、条件に合う業者がすぐに表示されます。正社員の管理職の方は「正社員」を選び、会社と争いになりそうなら「損害賠償や訴訟にも備えたい」を選ぶとよいでしょう。

本記事は法律の一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。料金・対応範囲は2026年10月時点の各社公開情報にもとづきます。具体的な状況については弁護士や労働基準監督署にご相談ください。

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