退職で「研修費を返せ」と言われたら?払わなくてよい理由と対処

辞めるなら研修費を返せと言われたら?労基法16条で無効になりやすい約束と、払わなくてよい場合の見分け方 入社してすぐ辞めたい

公開日:2026年10月25日/2026年10月時点の情報にもとづきます/本記事はアフィリエイト広告を利用しています

辞めると伝えたら「研修にかけた費用を返してもらう」と言われ、本当に払わなければいけないのか不安になりますよね。

「○年以内に辞めたら研修費を返す」と額を先に決める約束は、労働基準法16条が禁じる違約金・損害賠償額の予定に該当し、無効になりやすい約束です。新人研修や仕事に必要な研修の費用は会社が負担するものと考えられており、返還が認められた例は、本人が希望した留学や資格取得で費用が貸付と評価された場合に限られます。

言われてもその場で払わず、誓約書と費用の明細を確かめてから相談先に見せることが先です。

この記事では、無効になりやすい約束と認められた例の違い、誓約書にサインしていた場合、給料から引くと言われた場合、自分で対応する手順、相談先、自分で言えない時の選択肢を解説します。

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研修費を返せと言われたら払う必要はある?

その場で払う必要はありません。労働基準法16条は、会社が労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償の額をあらかじめ決めたりすることを禁じています。

「3年以内に辞めたら研修費30万円を返す」という約束は、辞めることに対して先に額を決めた違約金に該当するため、無効と判断されやすい約束です。会社が実際にかけた費用があっても、辞めたことを理由に先に決めた額を請求する形は認められにくいとされています。

退職そのものは、期間を決めずに雇われている方なら、民法627条1項により伝えてから2週間で成立します。研修費の話が出ていても、退職の効力は変わりません。詳しくは2週間の数え方をご覧ください。

覚えておきたいこと

無効になりやすいのは「辞めたら払う」という約束の形です。会社が本人に実際に貸したお金を返す約束は、別の扱いになることがあります。どちらに当てはまるかは、誓約書の文面と研修の中身で分かれます。

無効になりやすい約束と、返還が認められた例の違いは?

違いは、研修が「会社の仕事に必要なものか」「本人が希望して受けたものか」と、費用が「会社の負担か」「本人への貸付か」の2点にあります。新人研修や業務に必要な研修は会社の負担とされ、返還の約束は無効になりやすい側です。

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研修の種類返還の扱い判断された例
新人研修・社内研修・OJT会社の負担。返還の約束は無効になりやすい美容室の従業員に講習費の返還を求めた特約を、労働基準法16条に反し無効とした例(浦和地裁 昭和61年5月30日)
業務に必要な資格の講習(会社が指示)会社の負担とされやすい—
本人が希望した留学・外部研修費用を本人への貸付と評価し、一定期間勤めれば返済を免除する形なら、返還が認められた例がある社員が希望した海外留学の費用について、返還の合意を有効とした例(東京地裁 平成14年4月16日)
本人名義の資格取得(会社が立て替え)本人の利益になる資格で、本人が希望した場合は貸付と評価されることがある—

表のとおり、入社直後の新人研修で「返せ」と言われるケースは、無効になりやすい側に当てはまります。個別の有効性は誓約書の文面と研修の中身で判断されるため、言われた内容はそのまま記録しておきます。

施工管理や美容師など、資格の費用を会社が負担している職種では、この話が出やすくなります。職種ごとの扱いは、別の記事で扱っています。詳しくは施工管理の退職をご覧ください。

誓約書にサインしていた場合は?

サインしていても、約束の内容が労働基準法16条に反するなら、その部分は無効です。サインの有無より、誓約書に何がどう書いてあるかで扱いが決まります。

見る箇所は3つです。「辞めたら払う」と書いてあるか、額が先に決まっているか、研修を本人が希望したことになっているか、を確かめます。

  • 誓約書の控えか写真を手元に残した
  • 「○年以内に退職した場合は返還する」の文言があるか確かめた
  • 返還する額が先に書かれているか確かめた
  • 研修の案内や指示のメールを残した(会社の指示か本人の希望かが分かる)
  • 研修費の明細(何にいくらかかったか)を会社に求めた

誓約書を渡していない方は、会社が写しを持っているため、写しの提示を求めます。誓約書の文面は、研修の案内や指示のメールと一緒に読むと、会社の指示だったか本人の希望だったかが分かります。

「サインしたから払え」と言われたときの対処は、損害賠償の記事と同じです。詳しくは損害賠償と言われたときをご覧ください。

給料から研修費を引くと言われたら?

本人の合意なく給料から引くことはできません。労働基準法24条1項は、賃金を通貨で、本人に直接、全額支払うよう定めており、研修費の名目で勝手に差し引く扱いはこの原則に反します。

最後の給料が減って振り込まれた場合は、給与明細の控除欄を見て、何の名目で引かれたかを確かめます。合意していない控除は、明細を持って労働基準監督署に相談できます。

注意

「最後の給料を払わない」「研修費と相殺する」と言われても、その場で同意の返事をしないようにします。メールで「研修費の返還には同意していません。給料は全額の支払いをお願いします」と送り、記録を残します。

給料が払われないときの手順は、別の記事で扱っています。詳しくはすぐ辞めたときの給料と保険料をご覧ください。

自分で対応する手順と例文

順番は「その場で決めない」「書面で求める」「記録をそろえる」「相談先に見せる」の4段階です。口頭で言われた段階では、支払いの約束も拒否の言い争いもせず、書面を求めるところから始めます。

1. その場で決めない

面談で言われたら、「持ち帰って確認します」と伝えて席を立ちます。念書や新しい誓約書へのサインは、その場ではしません。

2. 書面で求める

メールの例文

件名:研修費用の返還について
〇〇部 〇〇様
お疲れさまです。〇〇です。本日、研修費用の返還を求める旨のお話をいただきました。内容を確認したいので、根拠となる規定または誓約書の写しと、費用の明細を書面でお送りください。確認のうえ改めてご連絡いたします。なお、退職日は〇月〇日で変わりありません。

3. 記録をそろえる

誓約書の写し、研修の案内や指示のメール、費用の明細、言われた日時と内容のメモをそろえます。前の章のチェックリストの5つが目安です。

4. 相談先に見せる

都道府県労働局の総合労働相談コーナーは、会社とのトラブル全般を無料で相談できる窓口です。給料から引かれた場合は労働基準監督署、請求の書面が届いた場合は法テラスか弁護士に見せます。

会社が口にする言葉と実際の扱い

研修費の話と一緒に、会社から次のような言葉が出ることがあります。言われただけで支払いの義務が生じる言葉はありません。

会社の言葉実際の扱い
「誓約書にサインしただろう」労働基準法16条に反する部分は、サインしていても無効です
「研修費を払うまで退職は認めない」退職に会社の同意は要らず、伝えてから2週間で雇用は終了します
「最後の給料から引く」合意のない控除は全額払いの原則に反します
「損害賠償を請求する」その場で払う必要はありません。書面が届いたら弁護士に見せます
「資格を返せ」本人名義の資格は本人のものです。会社が負担した費用の扱いは別の話です

懲戒解雇をほのめかされた場合の扱いは、別の記事で扱っています。詳しくは懲戒解雇と言われたときをご覧ください。

自分で言えない時に第三者を挟む選択肢は?

書面を求めても応じない、請求の書面が届いた、給料から引かれた場合は、第三者を挟む段階です。選択肢は労働組合・弁護士・退職代行の3つで、できることと費用が違います。

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選択肢できること費用の目安向く方
労働組合(ユニオン)会社との団体交渉。給料の全額払いや退職日の話し合い加入費・組合費(組合ごとに異なる)給料から引かれた分を取り戻したい方
弁護士代理人として通知・交渉・請求。請求書への反論相談料・着手金(事務所ごとに異なる)請求の書面が届いた方、誓約書の有効性を争う方
退職代行退職の意思と希望を会社に伝え、以後の連絡窓口になる運営元により1万円台〜5万円台研修費の話が出ていて、会社と直接話したくない方

研修費の返還は会社が反論してくる話のため、通知と反論まで代理できる弁護士が合う場面が多くなります。退職代行の運営元による違いは次の章で扱います。

退職代行とは?研修費の話が出ても窓口を代わるサービス

退職代行は、本人の代わりに会社へ退職の意思を伝え、以後の連絡窓口になるサービスです。研修費の返還を求める連絡も業者に集まるため、本人が直接言われずに済みます。

利用は入社直後の方にも広がっています。退職代行モームリの累計利用者51,935名分のデータ(2026年10月公表)では、依頼までの在職期間が1か月未満の方は22.9%、半年未満の方は58.7%でした。

運営元は民間企業・労働組合・弁護士の3タイプで、研修費の請求に反論できるのは弁護士に限られます。労働組合は給料の全額払いや退職日の交渉ができ、民間企業は希望を伝えるまでです。詳しくは非弁行為の線引きをご覧ください。

研修費を言われた方に退職代行が向く方・向かない方

書面を求めたら会社が請求を取り下げ、退職日と給料の支払いに応じるなら、退職代行を使わなくても退職できます。請求の書面が届いた、給料から引かれた、誓約書を盾に退職を認めないと言われた場合は、反論まで任せられる第三者を挟むと進みやすくなります。

向く方向かない方
請求の書面や誓約書の写しが届き、自分で反論するのが不安書面を求めたら、会社が請求の話をしなくなった
最後の給料から研修費が引かれた給料は全額支払われ、明細に不明な控除がない
「払うまで退職は認めない」と言われ、会社と直接話したくない退職日と手続きを会社がそのまま進めている

研修費を言われた方に合う退職代行3社

3社は、請求への反論まで代理できる弁護士法人1社と、労働組合が運営する姉妹サービス2社です。研修費の話が具体的なら弁護士法人を先に、伝えてもらえれば足りるなら労働組合の2社が候補です。

弁護士法人ガイア|研修費の請求への反論まで代理

弁護士法人ガイアの公式サイト
出典:弁護士法人ガイア公式サイト(2026年9月時点)
項目内容
料金25,300円〜(伝達のみ25,300円/フォロー付55,000円/役員・業務委託等77,000円)
運営元弁護士(弁護士法人ガイア総合法律事務所)
交渉可(有給消化・退職日・未払い残業代や退職金の請求。回収時は成功報酬20〜30%)
即日対応可(委任契約と入金が代行日までに間に合う場合)
返金保証—
後払いなし(代行日までに銀行振込で前払い)
連絡手段LINE(24時間受付)・電話・メールフォーム

弁護士法人ガイアは、弁護士法人ガイア総合法律事務所が運営する弁護士の退職代行です。退職を伝えるだけなら25,300円で、弁護士が運営する中では手が届きやすい料金です。

弁護士として、研修費の請求への反論や未払い分の請求まで代理でき、誓約書を書いた方や損害賠償を告げられた方の代行実績も公式サイトに載っています。請求の書面が届いている方や、誓約書を盾に退職を認めないと言われた方に向いています。

支払いは代行日までの銀行振込による前払いで、後払いの案内はありません。アフターフォロー付きは55,000円で、未払い分の請求を任せて回収した場合は20〜30%の成功報酬が別途かかります。

退職代行わたしNEXT|女性向けで後払いに対応

退職代行わたしNEXTの公式サイト
出典:退職代行わたしNEXT公式サイト(2026年9月時点)
項目内容
料金18,800円〜(アルバイト・パート18,800円/正社員・契約社員・派遣社員21,800円・組合費1,000円別途・追加料金なし)
運営元労働組合(合同労働組合 退職代行toNEXTユニオン)
交渉条件の交渉は対象外(有給消化などの希望は会社に伝える)
即日対応可(最短で依頼当日に退職)
返金保証あり(退職できなかった場合は100%返金)
後払いあり(Paidy翌月後払い/コンビニ後払い・手数料3,200円)
連絡手段LINE・メール・電話(24時間365日)

退職代行わたしNEXTは、合同労働組合 退職代行toNEXTユニオンが運営する女性向けの退職代行です。労働組合の窓口として退職を伝え、退職日や給料の支払いについての希望も会社に伝えます。

条件の交渉は対象外で、研修費の話がまだ口頭だけで、退職の意思を伝えてもらえれば足りる女性に合います。相談はLINE・メール・電話で、24時間365日受け付けています。

料金はアルバイト・パートが18,800円、正社員・契約社員・派遣社員が21,800円で、組合費1,000円を別に納めます。Paidy翌月後払いとコンビニ後払いに対応しているため、最後の給料が入る前でも依頼を進められます。

男の退職代行|男性専門で後払いに対応

男の退職代行の公式サイト
出典:男の退職代行公式サイト(2026年9月時点)
項目内容
料金18,800円〜(アルバイト・パート18,800円/正社員・契約・派遣21,800円・組合費1,000円別途)
運営元労働組合(toNEXTユニオン)
交渉条件の交渉は対象外(有給消化などの希望は会社に伝える)
即日対応可(最短即日)
返金保証あり(全額返金保証)
後払いあり(Paidy翌月後払い)
連絡手段LINE・メール・電話(24時間受付)

男の退職代行は、労働組合のtoNEXTユニオンが運営する男性専門の退職代行です。退職代行わたしNEXTと同じ組合の姉妹サービスで、労働組合の窓口として退職の意思と希望を会社に伝えます。

条件の交渉は対象外で、退職日や給料の支払いについての希望は会社に伝える形です。研修費の話が口頭だけで、伝えてもらえれば足りる男性に向いています。

料金はアルバイト・パートが18,800円、正社員・契約・派遣が21,800円で、組合費1,000円を別に納めます。Paidyの翌月後払いが選べるため、次の給料日前の依頼でも進められます。

3社とも、依頼した当日から会社との連絡窓口を代わります。自分で対応する手順と合わせて、検討の選択肢に入れてみてください。

よくある質問

入社1か月で辞めます。新人研修の費用を返せと言われました。

新人研修の費用は会社が負担するものと考えられており、「辞めたら返す」という約束は労働基準法16条により無効になりやすい側です。その場で払わず、規定と明細を書面で求めましょう。

誓約書にサインしてしまいました。払わなければいけませんか?

サインしていても、法律に反する部分は無効です。誓約書の写しと研修の中身が分かる資料をそろえて、総合労働相談コーナーか弁護士に見せてください。

会社が負担した資格の費用はどうなりますか?

本人名義の資格は本人のものです。費用の扱いは、本人が希望して取った資格で費用が貸付と評価できるかで分かれ、個別に判断されます。

最後の給料から研修費が引かれていました。

合意のない控除は、賃金の全額払いの原則に反します。給与明細と出勤の記録を持って、労働基準監督署に相談できます。

研修費を払うまで退職を認めないと言われました。

退職に会社の同意は要らず、期間を決めずに雇われている方なら、伝えてから2週間で雇用は終了します。研修費の話と退職の手続きは、分けて進めてかまいません。

3社以外にも、料金・運営元・交渉範囲の違う業者があります。詳しくは退職代行おすすめ比較13選をご覧ください。

まとめ

「辞めたら研修費を返す」と額を先に決める約束は、労働基準法16条により無効になりやすく、新人研修や業務に必要な研修の費用は会社の負担と考えられています。返還が認められた例は、本人が希望した留学や資格取得で費用が貸付と評価された場合に限られます。

対処の順番は次のとおりです。

  • その場で支払いの約束も念書へのサインもせず、持ち帰る
  • 規定・誓約書の写しと費用の明細を書面で求め、記録をそろえる
  • 総合労働相談コーナー・労働基準監督署・法テラスのいずれかに見せる
  • 請求の書面が届いた、給料から引かれた場合は、弁護士か労働組合、退職代行のいずれかを挟む

書面を求めたら会社が引き下がり、退職日と給料の支払いに応じるなら、第三者は必要ありません。それが難しいと感じたら、会社との連絡窓口を代わる退職代行も、選択肢の一つに入れてみてください。

研修費を言われた方に合う業者を診断で探す

研修費の返還を言われた方は、話がまだ口頭だけか、請求の書面や給料からの控除まで進んでいるかで選ぶ業者が変わります。口頭だけなら退職の意思を伝えてもらえれば足り、書面や控除まで進んでいるなら反論まで代理できる弁護士が候補になります。

退職代行診断ナビの無料診断で、雇用形態・重視したい点・辞めたい時期の3つを選ぶと、条件に合う業者がすぐにわかります。請求の話が具体的な方は「いちばん重視したいこと」で「損害賠償や訴訟にも備えたい」、「いつ辞めたい」で「なるべく早く」を選ぶと、弁護士が運営する業者が表示されます。

本記事は法律の一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。誓約書の有効性は個別に判断されるため、具体的な状況については弁護士や労働基準監督署にご相談ください。料金と対応範囲は2026年10月時点の各社公開情報にもとづきます。

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